ノミノツヅリ属(ノミノツヅリぞく、学名:Arenaria、和名漢字表記:蚤の綴り属)はナデシコ科の属の一つ。

特徴

小型の一年草、越年草または多年草。葉は対生し、扁平または針状になる。花は単生するか円錐状の集散花序をなす。萼片は離生し、5個ある。花弁も5個で縁は全縁、色は白色、ときに花弁は退化して無い。雄蘂は10個。花柱はふつう3個。果実は蒴果となり、先端が6裂するか、ときに3裂してさらに浅く2裂する。種子の付属体「種枕」を持つ植物群は別属のオオヤマフスマ属 Moehringia L. とされる場合がある。

北半球の温帯から寒帯に約300種あり、チベット、ヒマラヤ、中央アジア、小アジア、地中海沿岸、アンデス山脈に多くが分布し、日本には5種ある。

日本に分布する種

  • ノミノツヅリ Arenaria serpyllifolia L. -ユーラシア原産で、日本では北海道から琉球まで分布する。
    • ネバリノミノツヅリ Arenaria serpyllifolia L. var. viscida (Loisel.) DC. -全草に腺毛がある変種。
  • オオヤマフスマ Arenaria lateriflora L. -北半球の温帯に広く分布し、日本では北海道から九州までで分布する。
  • タチハコベ Arenaria trinervia L. -北半球の温帯に広く分布し、日本では北海道(中部以南)、本州(北部)、四国、九州に分布するが、かなり稀な種。絶滅危惧II類(VU)(2015年、環境省)。
  • メアカンフスマ Arenaria merckioides Maxim. var. merckioides -北海道の知床半島、雌阿寒岳に分布し、高山の岩礫地に生育する。
    • チョウカイフスマ Arenaria merckioides Maxim. var. chokaiensis (Yatabe) Okuyama -本州の東北地方の鳥海山に特産する変種。月山の9合目にあるものは鳥海山から移植されたもの。絶滅危惧II類(VU)(2015年、環境省)。
  • カトウハコベ Arenaria katoana Makino -北海道の夕張岳、日高山脈、本州の早池峰山、谷川岳、至仏山に分布し、高山の蛇紋岩の岩礫地に生育する。絶滅危惧II類(VU)(2015年、環境省)。
    • アポイツメクサ Arenaria katoana Makino var. lanceolata Tatew. -基本種より葉が細く、北海道の夕張岳、アポイ岳に特産する変種。

その他の種

  • アレナリア・モンタナ Arenaria montana ピレネー山脈からポルトガル

ギャラリー

分類

ノミノツヅリ属 Arenaria は、蒴果が6裂するが、蒴果が3裂するタカネツメクサ属 Minuartia を含め、これを広義のタカネツメクサ属 Arenaria とする場合もある。

脚注

参考文献

  • 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎他編『日本の野生植物 草本II離弁花類』、1982年、平凡社
  • 豊国秀夫編『山溪カラー名鑑 日本の高山植物』、1988年、山と溪谷社
  • 土門尚三著『山形県北庄内の植物誌』、1999年
  • 大橋広好・門田裕一・木原浩他編『改訂新版 日本の野生植物 4』、2017年、平凡社
  • 米倉浩司・梶田忠 (2003-)「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)

道端の花のみのつづり

ナデシコ科ノミノツヅリ属ノミノツヅリ

植物図鑑:ノミノツヅリ

ノミノツヅリ 植物写真鑑

野草一覧 ノミノツヅリ