盛駅(さかりえき)は、岩手県大船渡市盛町字東町裏にある、三陸鉄道・岩手開発鉄道の鉄道駅、および東日本旅客鉄道(JR東日本)大船渡線BRT(バス高速輸送システム)のバス停留所である。

乗り入れ路線

鉄道としては、三陸鉄道のリアス線(南リアス線)と、岩手開発鉄道の日頃市線・赤崎線が乗り入れている。BRTとしてJR東日本の大船渡線BRTも乗り入れている。

岩手開発鉄道の2路線は貨物列車のみの運行である。ただし、日頃市線は1992年(平成4年)まで旅客営業を行っていた。

大船渡線BRTはかつて鉄道路線の大船渡線であったが、東日本大震災により不通となり、BRTとして復旧された。

なお、上記の路線はいずれも当駅が起点・終点である。

歴史

  • 1935年(昭和10年)9月29日:鉄道省大船渡線の駅として開業。
  • 1949年(昭和24年)6月1日:日本国有鉄道(国鉄)発足。
  • 1950年(昭和25年)10月21日:岩手開発鉄道日頃市線開業。
  • 1957年(昭和32年)6月21日:岩手開発鉄道赤崎線開業。
  • 1970年(昭和45年)3月1日:盛線開業。
  • 1984年(昭和59年)4月1日:盛線が三陸鉄道に転換。
  • 1987年(昭和62年)4月1日:国鉄分割民営化により、大船渡線の駅はJR東日本の駅となる。
  • 1992年(平成4年)4月1日:岩手開発鉄道日頃市線の旅客営業廃止。
  • 2011年(平成23年)
    • 3月11日:東北地方太平洋沖地震による被害のため全路線で運休。駅構内にも津波が押し寄せた。
    • 4月21日:みどりの窓口の営業を再開する。
    • 8月22日:地震直前に大船渡線333Dとして到着し孤立していた車両(キハ100-31・41)が陸送で搬出される。
    • 10月5日:三陸鉄道の駅舎を利用した「ふれあい待合室」が営業を開始。
    • 11月7日:岩手開発鉄道赤崎線が津波被害から復旧、日頃市線と合わせて貨物輸送を再開。
  • 2012年(平成24年)12月15日:「海岸のまち」を象徴する駅舎に改装。
  • 2013年(平成25年)
    • 3月2日:大船渡線気仙沼駅 - 当駅間がBRTにより仮復旧。BRTは駅前広場から発着。
    • 4月3日:三陸鉄道南リアス線当駅 - 吉浜駅間が営業再開。
    • 4月26日:BRTが専用道延伸により当駅構内に乗り入れ。
  • 2017年(平成29年)4月1日:JR東日本の駅が業務委託化。
  • 2020年(令和2年)4月1日:大船渡線気仙沼駅 - 当駅間の鉄道事業廃止により、鉄道駅としては三陸鉄道と岩手開発鉄道の駅となる。

駅構造

JR東日本・三陸鉄道

当駅は地上駅形態であるが、バス専用道路上に設置されたBRTのりばと、鉄道のプラットホーム設備が同一構内を共有する特殊な構造となっている。また、BRTのりばと鉄道ホームは通しの番号が振られている。

三陸鉄道リアス線は単式ホーム1面1線の構造で、他に側線を有する。

大船渡線BRTのりばは、駅舎と三陸鉄道ホームの間に挟まれた2車線分の幅員を有する専用道に面して設けられ、駅舎側(降車専用)が「1番線」、三陸鉄道ホーム側(乗車専用・気仙沼方面)が「2番線」と案内される。

BRT運行開始から2013年(平成25年)4月まではBRTのりばは駅前に設置されており、旧来の駅構内には三陸鉄道のみが発着していた。

JR東日本と三陸鉄道で独立した駅舎を持ち、発売する乗車券もそれぞれの会社のものとなっている。

JRの駅は気仙沼駅が管理し、JR東日本東北総合サービスが受託する業務委託駅である。以前は管理駅として細浦駅 - 大船渡駅間の各駅を管理していた。駅舎にはみどりの窓口と自動券売機がある。なおBRTは全て車内精算であることから、駅での改札業務は実施していない。

三陸鉄道の駅は直営駅で、出札窓口が設けられている。また、構内には、リアス線(盛駅 - 釜石駅間)の運行を担う運行本部大船渡派出所(旧・大船渡鉄道事務所→南リアス線運行本部)があり、車庫のほか輸送指令所などがある。

2011年(平成23年)10月に三陸鉄道側の駅舎と津波で冠水した車両を活用した「ふれあい待合室」が開設され、グッズの販売やお茶の提供などが行われていた。この車両については2012年(平成24年)11月に利用を終了し解体された。

2012年(平成24年)に三陸海岸の復興支援の目的で、列車の運行は再開していないもののJR駅舎のリニューアル工事が行われた。駅のテーマは「海岸のまち」で、大船渡市の名所「碁石海岸穴通し磯」をイメージして駅舎入口にルーバー状のひさしを設置している。また待合室の床は碁石海岸を模して丸い石の模様で敷き詰め、境界線が波打ち際を表現するようにカーブを描かせたものとなっている。

のりば

  • 東日本大震災発生以前は、1・2番線が気仙沼方面の列車が発着するホームとして使用されており、夜間滞泊の設定もあった。

岩手開発鉄道

岩手開発鉄道の駅は、同線の拠点駅として機能しており、車両基地が置かれている。

JRや三陸鉄道のホームの東側に1面1線のホームがあるが、旅客営業廃止により立ち入り禁止となっている。

利用状況

  • JR東日本 - 2023年度(令和5年度)の1日平均乗車人員は160人である。
  • 三陸鉄道 - 2022年度(令和4年度)の1日平均乗車人員は127人である。

2000年度(平成12年度)以降の推移は以下のとおりである(2011年度〈平成23年度〉・2012年度〈平成24年度〉は東日本大震災の影響で運休)。

駅周辺

当駅が所在する大船渡市盛町には古くから市役所などの行政施設が設置されたほか、中心市街地として商店街が形成され、独特の文化や伝統が築かれた。

毎年8月6日・7日にはおよそ400年の歴史がある盛町灯ろう七夕まつりが駅周辺で行われるほか、駅近くの木町市場通りでは、毎月「5」と「0」のつく日に朝市(盛町市日)が開かれる。

その他

  • 大船渡線を走る列車の行先表示幕ではさかりと平仮名表記されていた。これは国鉄時代の行先標からのことであり、盛岡との混同を避けるためであった。ただし「三鉄祭りさかり号」では、行き先表示に「盛岡 - 盛」と表示されていた。なお、BRTのバスでは「盛(さかり)」と表記されている。
  • 三陸鉄道の駅には「椿の里」という愛称がついている。なお、大船渡市の花はツバキである。
  • 大船渡市役所の最寄り駅で、同市内では大船渡線のBRT転換以前より最大の乗車人員のある駅でもあるが、JTB時刻表では、同市の代表駅をバス停留所となった大船渡駅としている。

隣の駅・停留所

東日本旅客鉄道(JR東日本)
■大船渡線BRT
□快速・■普通
田茂山駅 - 盛駅
三陸鉄道
■リアス線
盛駅 - 陸前赤崎駅
岩手開発鉄道
日頃市線
盛駅 - 長安寺駅
赤崎線
盛駅 - 赤崎駅

かつて存在した鉄道路線

東日本旅客鉄道(JR東日本)
■大船渡線
大船渡駅 - 盛駅

脚注

記事本文

出典

報道発表資料

新聞記事

利用状況

JR東日本

鉄道
BRT

三陸鉄道

関連項目

  • 日本の鉄道駅一覧
  • 東日本大震災による鉄道への影響

外部リンク

  • 駅の情報(盛駅):JR東日本
  • 盛駅:三陸鉄道

盛駅観光センター 大船渡情報総合サイト 大船渡ポータル

大船渡線・盛駅-さいきの駅舎訪問

盛駅, この先、線路が途切れてました Eiichi Kimura Flickr

(写真73枚)盛駅構内と駅東側 JR大船渡線BRT・三陸鉄道

(写真73枚)盛駅構内と駅東側 JR大船渡線BRT・三陸鉄道